「閉鎖病棟」 帚木蓬生

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閉鎖病棟という言葉すら知りませんでした。
精神科の患者さんたちが入院生活をしている場所を舞台にしています。
一人一人の患者さんの過去、入院するに至った経緯を紹介。
どの人もそれなりの事情や理由があってのこと。
同じような状況におかれたら、自分も精神的に病んでしまうかもしれない。
と考えさせられます。
筆者の公平であたたかなまなざしで、患者さんの人生が丁寧に描かれ、
最初は登場人物が多いのと、せつないぐらい悲しい内容に、挫折しかけ
ましたが、中盤からぐいぐい引き込まれていき、最後にはじーんときて、
感動しました。読み終えてから、また最初に戻ると、その人物のことを
改めて考えさせられました。

薬を飲みながら、食事や生活の世話を受けながら、閉鎖された社会の
中である意味守られて、仲間との絆を強くしていく患者さんたち。
とても純粋で、温かい人柄だからこそ、思い込んで精神的に病んでしまった
のか・・・?それでも犯罪はNo。
いろんな事件がおきる中で、加害者の精神鑑定を行うことが増えています。
事件になる前に、誰かが相談したり、力になってあげられることがなかったのか
といつも感じてしまいます。

とにかく、会話。周りの人が悩んでいたり苦しんでいるようだったら、
声をかけたり、微笑んだり、力になってあげたい。そんなことを考えさせ
られました。でも、苦しんでいる人からすると、そんな簡単なことでは
ないのかなぁ・・・とても考えさせられた一冊でした。
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by arinko-mama | 2010-11-25 14:34 | 読書

「夕子ちゃんの近道」 長嶋有

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長嶋有さんの本は確か3冊目ぐらいだと思うけれど、
3冊目で確信しました。私、この作家さんの作品好きですね~

骨董屋「フラココ屋」にまつわるちょっと変わった人々を描いていく
なんてことのない日常に少し事件が起こったりするだけの話なのですが、
主人公の眼からみた映像が、人物の言葉と動きすべてを事細かに
映し出されて、表現されていて・・・なんともいい感じなのです。

登場人物の距離感がまた、ちょうどいい感じで。
恋愛感情になるわけでもなく、べったり親友になるわけでもなく、
でも集まるとなんだか楽しそうな雰囲気で・・・ちょっとずつみんなが
関わりあっていて、ちょっとずつ誰かのことを気にかけているみたいな。

瑞枝さんという人が一番好きで。なんだか光浦さんのイメージで
読んでいました。映像化したら、絶対光浦さんにやって欲しいなあ。
相撲観戦シーンがあるのですが、私も若貴兄弟や貴闘力が好きだった
世代なので、このまえ貴闘力が親方になって野球賭博がらみで
終わってしまったとき、とても悲しかったのを思い出しました。
ほかにも、時代の流れを感じるシーンがいくつかありました。
またほかの作品が読みたいです。
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by arinko-mama | 2010-11-19 11:54 | 読書

「優しいおとな」 桐野夏生

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たぶん桐野さんの本を読んだのは「OUT]以来かな。
表紙がスカイエマさんという方のカッコイイ絵だったので、
子供がらみの話かな~。と借りてみました。

舞台は近未来の渋谷。
15歳のイオン(名前がいちいちカッコイイ)が児童保護せんたーから
脱出し、ホームレスのまま炊き出しに並ぶところから始まる。
その日その日の生活でいっぱいいっぱい。所持金も少なく、
身よりもない。愛を知らずに育ったイオンは、他人に対しての興味も薄い。
自分に関心を寄せてくる「ストリートチルドレンを助ける会」のメンバー、
モガミに対しても心を開かず、ただ鬱陶しいと感じるだけだった。

そんなイオンに双子の兄弟、鉄と銅がいることを思い出してから、
その頃の記憶とともに、兄弟に会いたいという気持ちが強くなるイオン。
大事にしていたリュックを奪われてから、地下組織の一員になり、
まさに闇の中に落ちていく人生・・・錫との出会い、仲間との出会い、
そこで目にした人の死・・・

イオンが成長していくさまを追いながら、ケミカルという女性の生き方に
同じ子を持つ母親として、興味をもって読みました。
「人間には光が必要なんだ・・・以下」がとても心に響いて、子供を
必死で守り、生きていく母親の強さを感じました。

最近、子供を虐待する両親、子供が親を殺してしまう事件などが
増えています。近未来、社会が不安定になったときに、子供が犠牲に
なって、イオンのような子供たちが世の中にあふれることのない
いい世の中であって欲しいと願います。

人間が生きていくにはやっぱり愛情が必要。それが必ずしも両親から
受けることができなくても、子供たちは一生懸命に成長していく。
身近に本当にその子のことを思って助けてくれる大人たちがいれば。
そんなことを感じられるスケールの大きい一冊でした。
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by arinko-mama | 2010-11-15 10:47 | 読書

「図説 ショパン」 伊熊よし子

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生誕200年ということでTV番組にも取り上げられているショパン。
その生涯を知りたいなあ。と思い、小学生向けの学習まんがを探して
みたのですが、貸し出し中。おおっ。誰か読んでいるんですね!
次にみつけたのが2月に出たばかりのふくろうの本。
薄くて写真がいっぱいあって、いいです~。分かりやすい。

ショパンの生涯をたどって、観光をする人もいるのでしょうか。
どのような場所なのか、写真と一緒に詳しく説明もあります。
知っている曲は少ないのですが、ショパンの曲が好きで、でもあまり
その生涯を詳しくしらないまま、亡くなった39歳と同じ歳になっていました。
もともと病弱で、結核で亡くなったんですね・・・

それにしてもお母さんがピアノが好きで、4歳からピアノをはじめて、
はじめて作曲したのが7歳。11歳のときには習っている先生が
「もう自分には何も教えるものがない」と悟ってしまったという・・・
やっぱり天才作曲家はその才能が素晴らしいのですね~。

ショパンの背景や、曲への思いを知ることができたので、
改めて作曲した曲をまた聞いてみたくなりました。
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by arinko-mama | 2010-11-08 09:54 | 読書

「フィツジェラルド短編集」 野崎孝訳

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「華麗なるギャツビー」を昔映画でみたことがあります。
ロバート・レッドフォードがギャツビーを演じていました。
そのフィツジェラルド(フィッツジェラルド)の短編集です。
「氷の宮殿」「冬の夢」「金持の御曹司」「乗継ぎのための三時間」
「泳ぐ人たち」「バビロン再訪」の6つが収められています。

短いのから順番に読んで行ったので、「乗継ぎのための三時間」から。
乗継ぎまでの三時間、子供の頃に夢中だったナンシーという女性に
会いにいく・・・ところが、その結果が多くを失うものとなる。
短いのにとても印象に残る話で、最後の
人間の後半生というのは、いろいろなものを喪失してゆく長い過程
という表現がなんだか悲しくて・・・そうなのかな。と^^

「泳ぐ人たち」が一番好きです。「氷の宮殿」「冬の夢」など、
アメリカ北部、南部。アメリカとヨーロッパ、金持ちと貧乏とか、
いろいろな対比が多く、1920年代アメリカの歴史的背景を
あまり知らないので、もっといろいろ勉強してからの方がいいのかな。
という気もしました。英文学の研究対象になるような文学作品。

訳者あとがきで野崎さんが、村上春樹さんの訳以上に適切な言葉が
見つからないときに、そのまま使用し、それを村上氏も快諾してくれた
ことに感謝を述べています。村上氏の訳はやっぱり素晴らしいのですね。
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by arinko-mama | 2010-11-05 13:37 | 読書

「華麗なる賭け」

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昨日の夜10時からNHK-hiでやってました。
昔みたんですけど、かっこよかった~。という印象が強くて、
でも最後の墓地のシーンしか覚えてなくって・・・改めてみたら、
やっぱりかっこいいし、オシャレの一言ですね~。

スティーブ・マックィーン&フェイ・ダナウェイが出てくるたびに
おしゃれな格好で。なぜかヨーロッパの香り漂うのは音楽のせい?
ミシェル・ルグランの音楽は本当にいいですね~

銀行強盗がハーバード卒で、資産家で。お金に困っているわけではなく
ただスリルを味わいたいというか。
フェイ・ダナウェイが保険調査員という設定も素敵。
スタイルがよくて、煙草を吸うしぐさもすべてカッコイイ。
スケールの大きさと音楽とファッションと脚本と、カット割り。
いろんな面で今でも色あせない素敵な映画ですね~!
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by arinko-mama | 2010-11-04 14:36 | 映画

「よそ見津々」 柴崎友香

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「ショートカット」という作品を読んだことがあります。
最近の若い子向けかな。と思った記憶がありますが、1973年生まれ。
年齢は私とあまり変わらないという・・・あれ??
セリフが関西弁だったというのもちょっと入り込めなかった理由だった
のですが、関西人ということで、うどんの話や、食パンの4枚切り、5枚切りが
東京には少ないことなど、おもしろい話がいろいろありました。

阪神大震災の朝、大阪に住んでいた柴崎さん。
震災当日のことを書かれている文章が印象に残りました。
あと、地図をみることが好きだったり、世界のいろいろな地域について
TVでみるのが好き。というのも私と共通しているところがあって、
いくつか共感をもてるところがありました。
実際行きたいなあと思っても、柴崎さんはめんどうくさがりの怖がりなので
まだ海外は2ヶ国しかいっていないそうです。作家さんにしては少ないですね。

後半に書評や映画の感想などもあるので、長嶋有さんの本や、
赤毛のアンなど、読んでみようかな~。と思うものがいくつかありました。
人が勧めている本は無条件に読みたくなってしまうので困ります・・・ 
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by arinko-mama | 2010-11-01 12:30 | 読書