「母」 高行健

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ガオ・シンヂエンと読むそうです。
2000年度にノーベル文学賞を受賞された作家さんです。

少し前に読んだ堀江敏幸さんの「彼女のいる背表紙」という本の紹介のエッセイで、
この中に収録されている「花豆」のブランコのシーンが印象に残ったので、
ぜひ読んでみたいと借りてきました。

中国の作家さんは読んだことがないので、新鮮でした。
全く分からないけれど、できるなら、中国語で読みたいくらい。
救急車の音を「ピーポーピーポー」と訳してあると、なんだか日本的で違和感があったので^^

表題作の「母」については、息子が今は亡き母親に語りかけるスタイルで
怒涛のように文が続くので、少し読みづらいところもありましたが、
「円恩寺」「公園にて」「交通事故」など、入りやすい短編もあり、
やっぱり堀江さんが読んでいるだけあって、とてもきれいな文章でした。

「交通事故」が一番好きです。バスと、自転車に子どもを乗せた男の人が接触して、
交通事故。男の人が亡くなり、子どもは助かる。バスの運転手は捕まるのですが、
その事故現場の様子を時系列的にいろんな角度から追っていく。
それだけなのですが、とても細かく、映像的な描写で、周りのやじ馬の会話などから、
人の命のはかなさや、それをみる人々の感情が伝わってきて、
事故処理が終わった後は、何事もなかったかのようにまた日常が戻るところなど、
子どもを持つ母親としては、考えさせられるところがありました。

本から本へ、いろいろな出会いがあることがうれしいです。堀江さん、ありがとうございます!
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by arinko-mama | 2009-07-24 00:44 | 読書

「今夜も宇宙の片隅で」 笹生陽子

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7月1日に出たばかりの新刊。図書館で即ゲット!ですw
(この本のような雰囲気で書くなら、こんな感じ?)

おなしょう(同じ小学校)の同級生、中学2年生の岩国シュンと、フリスクこと相沢。
病気がちであまり学校に通っていなかった御園。
ネットでつながったり、現実の世界でつながったり・・・
いろんな人と人のつながりが、今時のコミュニケーションってこんな感じなんだろうな。
と、思い描ける感じ。とってもリアル。

ネットの世界ができてから、自分の顔をいくつか使い分けたりできる器用な人や、
よく分からずに本音で、本名までだして素の自分のままの人もいる。
そんな中、思春期で変わっていく自分と向き合いつつ、
何かキラッと輝くものをみつけたい・・・という思いが伝わってきました。

ネット用語が満載で、時々分からない言葉があったのですが、
私もブログをしたり、本好きの人とネット上で会話したりして、世界が広がったので、
そういう意味では、とても考えさせられたし、ネットと現実の世界を行き来している
今の中学生・高校生は、どんな感じなのかな。と想像しながら読みました。
笹生さんの描く、ちょっとあたたかい人と人のつながりが、心地よかったです。
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by arinko-mama | 2009-07-23 00:23 | 読書

「きんぴらふねふね」 石田千

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石田千さん。初めて読みました。もう「石田千」ブランド確立という感じの・・・
他にまねできないスタイルですね。エッセイというか物語というか・・・
これ全部彼女の日常なのだとしたら、すごく素敵な生活ですね~。
立ち食いそばもしたことないし、のれんくぐりもしたことのない私には、
とても新鮮で、うらやましい限りでした。
独身だけど、時々一緒にご飯を食べたり、旅行に行ったりする友達がいて・・・
毎日24時間自分のための時間が使えるということが今の私と全然違う。

だから、まだ独身だった、都内でOLをしていた頃のことを思い出しました。
毎日、今日のランチはどこで食べるかな~。と楽しみに。
同じ職場の同僚や、パートのおばさまや同期の友達。その日によって
食べる人が違ったけど、今でもそのシーンが目に浮かびます。
そして、東京って、ちょっと歩くだけで、ありとあらゆる種類のものが食べられる。
なんだか懐かしく思い出しました。

アイスクリームの売り子さんのアルバイトをしていたときの話が印象的。
こんな風に一つの食べ物から、ふわーっと素敵なエピソードを書ける人、
いいですね。私も春のお花見の仲間に加わってみたいなあ・・・
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by arinko-mama | 2009-07-19 01:21 | 読書

「さよなら渓谷」 吉田修一

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ほぼ一気読みでした。
少し前の秋田の事件を髣髴とさせるような、自然豊かな渓谷のそばでおきた事件。
その容疑者の母親の隣の家に住む夫婦。
記者が過去を調べるうちに、意外な事実が浮かび上がってきた。

被害者の女性側の心理しか分からなくて、それを思うととてもつらくて苦しくて。
被害者でもこんな風に噂されて、会社にもいられず、結婚もうまくいかず、
不幸に生きていくことしかないのか・・・と。

過去に何があったかなんて、もう掘り下げて知らなくてもいいのに。
今、彼女がどうなのか、前向きに生きようとしている。それでいいのに・・・
最近、昔の自分の経験をカミングアウトして、いかに辛かったか、大変だったか、と
それを披露することで注目される有名人が増えている。
確かにその人生を知ることで、同じような経験をした人が勇気付けられたり、
その人に魅力を感じたりすることもあるけれど、
「あの人、昔、こうだったらしいわよ。」「へーっ。」という噂話が大好きな
日本人の嫌な部分がむき出しになっているようで、あんまり・・・と思う。

この二人も二人にしか分からない結びつきで、ひっそりと生活し、普通に幸せになりそうに、
そしてお隣の子どもに何かしてやれたかな。と思っていたところだったのに、
記者にいろいろ聞かれて、過去を告白せざるをえなくなり、また彼女は去っていってしまった。
いつか彼女が幸せになれるときがきますように。

吉田さんの夏、暑い、汗だらだらな感じが、今の気候にぴったりで、
最初の二人の生活の描写など、また読み返してしまったほどうまくて、
暗くて重い内容なのに、なぜか読み進めてしまいました。不思議な魅力です。
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by arinko-mama | 2009-07-16 23:04 | 読書

「ぼくらのサマーキャンプ」

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夏休みの課題図書になっている一冊です。高学年用だったかな。
娘が借りてきたので、読んでみました。
小学校5年生だったかな、両親が初の海外旅行にいくということで、
ネットでサマーキャンプを探して、参加申し込みをした。というイマドキな出だし。

こういうサマーキャンプって参加したことはないけれど、結構ありそうですね。
現地にはボス的なオジサマがいて、バスの案内役には学生、現地のキャビンなどでも
学生がなれたかんじでキャンプを盛り上げます。

現地では隣の畑でとれた野菜でつくった夕飯がまっていたり、個性的で楽しそうな
学生さんたちがいっぱい出迎えてくれて、楽しい企画をたててくれていたり。
こんな楽しいキャンプなら、娘も一人で参加させてみたいと思うけれど、
金額はどのくらいかな?娘は一人では行かないだろうなあ。と現実的なことを
ついつい考えてしまいます。

最近、4年生になってから、お友達との約束を優先させたり、夏休みの体験ものに
応募したいといったり、だんだんとお友達とのいろんなことが楽しくなってきているようで。
世界が広がってきているんだなあ。と思います。
そんな中、この夏休みのサマーキャンプものの本はとてもぴったりで、
娘もおもしろかったようです。なんか、楽しそうで、私も小学生に戻りたくなっちゃいました。。
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by arinko-mama | 2009-07-15 14:36 | 読書

「ニッポン近代化遺産の旅」

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写真がとてもきれい。こういう風に撮るにはやっぱりいろんな角度から一番ベストなところを選んで撮るんだろうな。と感心しつつ読みました。

行ったことがあったのは、横浜のランドマークタワー内のドッグヤードガーデン、小樽、
そして横須賀から船でいく猿島、門司港レトロ。
日本が近代化していった背景にはいろいろな産業が発展してきた痕跡があります。
一つ新しいものができると、それまであったものがなくなっていく。
建物でも、今まで何が建ってたんだっけ?と忘れてしまうことがありますね。

ここに載っている場所は、そんな中、人々が忘れてはいけないと保存して、
残していろいろなことを考えたりできるもの。
写真をみたり、詳しいガイドを読んでいると、歴史や人々のエネルギーが伝わってきました。
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by arinko-mama | 2009-07-15 14:27 | 読書

「つきのふね」 森絵都

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出だしから、人間っていうものにくたびれてしまって、人間をやっているのにも人間づきあいにも疲れてしまって、植物がうらやましい。というさくら。

進路調査。都立高校をめざすのか、私立をめざすのか。
将来を真剣に考える時期。と担任の先生は言うけれど、さくらは「不明」と書いて出した。

なんかくらーいなあ。と、思いつつも読み進めていくと、みんなちょっとずつ心が病んでいる感じ。
中学校の頃にある、モヤモヤした雰囲気を思い出します。
部活動のゴタゴタ、クラスに一人や二人いる先生に反抗する生徒、それを力で抑える先生。
そんな中、なかなか明るい未来を思い描くのは難し・・・かったかな??

中学生のとき、1年生のときは交換日記をしたり、仲良くしていた友達が、
2年生になってクラス替えをした後、急に髪を肩まで切って、染めて、
見た目が全然違う人になってしまったことがありました。もちろん会話もしなくなりましたし。

さくらみたいに梨利に本気で話しかけて、また友情を深めることもできたかもしれない
けれど、結局それをしないまま。新しくできた友達と日々を過ごすことで終わってしまいました。
そんなことが結構あるのが中学生時代だったなあ。と思い出しました。
今は携帯も普及して、みんなそれでなんとなくつながっている感じのようだけれど、
きちんと向き合ってコミュニケーションする間もなく大人になってしまうと、
やっぱりどこか寂しい気持ちがあるんでしょうね。

いっぱい自分の弱い部分をさらけ出して、正直な気持ちでいろいろ話すことで、
みんな弱い部分をもっていること、みんな一人は寂しいこと、そんなことが理解できて、
助け合って生きていくことが素晴らしいことが分かる。
ラストの手紙がとてもピュアで(小2にしては幼いかな?)よかったです。
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by arinko-mama | 2009-07-15 00:54 | 読書

「彼女のいる背表紙」 堀江敏幸

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「彼女のいる背表紙」タイトルが素敵です。
彼女とは、本に出てくる女性のこと。女性が主人公の作品を一冊ずつ紹介していく
エッセイ。ちょっとした身近な話題から、その作品の内容にふんわりと導入していく
スタイルがとてもいい感じです。

どの本も全然知らないものばかり。読んでいるジャンルが幅広いし、
いつも堀江さんの文章が素敵だなあ。と思っている私なので、
紹介されている本のタイトルをみると、いろいろ読みたくなってしまいます・・・

それにしてもいろんな本の内容をよく記憶されています。
本には付箋を貼っているとのことですが、背表紙をみて、その本の内容を
思い出す。というところまで、まだ私は本を愛するというところに達していないなあ。
とやっぱり作家さんはすごい!と思いました。
これから、自分が読んだことのないジャンルの本を読むのが楽しみです!
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by arinko-mama | 2009-07-13 14:11 | 読書

「風をおいかけて海へ」 高森千穂

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娘がコンクールの課題図書として図書館に並んでいたのを
借りて、おもしろかったよーと言っていたので、読んでみました。
感想文が書きやすそうな本です。男の子の爽やかな友情。いいですね。

舞台が川崎から江ノ島まで。という東海道線や江ノ電沿いを走るというところが
なんだかうれしくて。児童書なので、あっという間に読み終わりましたが、
もっといっぱい長くして、大人向けにも書いて欲しいような設定でした。

小学校が休みの間、子どもたちはいろんな経験をして大きく成長します。
娘も4年生になってからというもの、友達との関係が深くなっているようで、
最近は家族の用事よりも友達との時間を優先したがるようになりました。
中学校に入ったら、部活動なども始まるし、一緒にゆっくりできる時間は
だんだんと減っていくのかな。などと感じています。

子どもの頃に冒険をすると、大きくなってからもずっと心に残ります。
何かすごいことをやってみよう!やってみたい!と好奇心がでてくるのも
ちょうど今頃なのかもしれません。
娘が何かやろう!としているときは、温かく見守ってあげよう。と思いました。
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by arinko-mama | 2009-07-10 23:01 | 読書

「図書館 愛書家の楽園」 アルベルト・マングェル

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タイトルだけで、図書館好き、図書館を学んだ私としては心ひかれる一冊です。
大学時代に出版されていたら、必読の書or教科書になっていたでしょう。

世界の古今東西、いろんな図書館について紹介されていて、それだけでも
非常に興味深いのですが、引用されている文章がすばらしく、冊数やその幅の
広さが尋常ではなく、著者の読書量や知識量がすごい!と感服です。

印象に残ったのは、コロンビア農村部の「ロバ図書館」。
大きなポケットがついた折りたたみ式の緑色の袋に本を詰めてロバの背に乗せ、
ジャングルや山岳地方へ運んでいたそうです。

日本でも、地方の図書館がない地域に巡回図書館が回ることはありますね。
どこのどんな地域にも図書館があって、無料でいろいろな本が読めるようになったら、
その地域の文化も変わるでしょうし、発展していくことでしょう。
字が読めない人には読める人が読んできかせてあげる。とのこと。
とてもいいお話です。

「本は苦痛を癒したり、悪を防いだり、善や美が何であるかを教えたりはしないかも
しれない。また人の寿命が尽きるのを防いでもくれない。だが、本は無数の可能性を
与えてくれる。」
という一文がとても素敵で、何度も繰り返し読んでしまいました。

どんなに文明が発展して、電子ブックや携帯で読める小説が出てきても、
なんだかやっぱり紙の本がいいですね。重みとか、感触とか、装丁とか、
本そのものが好きです。
日本に古くからあるお守りとかのように、いつまでもいいものは残るんでしょうね。
ずっと昔から人々は本を読んできたし、世界各国共通なんだと思うとなんだか
うれしくなりました!
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by arinko-mama | 2009-07-10 14:27 | 読書