「四万十川 あつよしの夏」 笹山久三

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昭和62年に文藝賞を受賞した作品。ネコの話とクラスの話が収録されています。

四万十川の近くで暮らす七人家族。五人兄弟の次男、篤義の性格はおとなしく、
成績はオール3。母のスミも篤義だけはよく分からない。
そんな篤義はネコのキィを大事にかわいがっている。
キィが子どもを産むと、間引きされ、捨てられるという過去を知っている篤義は
今回は絶対に間引きさせないと、初めて両親に背く。

クラスの話は、貧乏で塩をかけたご飯しか持ってこられない千代子を
「しおめし」とからかうクラスの男の子を許せず、普段おとなしい篤義が
精一杯立ち向かい、教室でケンカをする。

どちらも篤義が一生懸命考えて、自分が一番正しいと思ったことをしたのを、
両親や兄弟が静かに見守り、理解し、尊重しているところがとても素敵。
日本の家族はこのようでないと、いけないと思う。
父親の秀男が、
今の社会の競争の仕組みが、他人を思いやる気持ちを押しつぶしてしまう。
でも、かかわり方の問題で、自分が正しいと思ったらやってみること、
努力をすることで世の中を支配した考えから自立できる。
というとても大事なことを話しているシーンが感動的です。

そして、篤義のクラスの担任の吉田先生がとてもいいです。
新任の先生なのですが、落ち着いて、みんなの気持ちを聞き、一緒に考えようという
姿勢をもっています。こんな先生がたくさん増えるといいなあ。
最後の篤義が書いた、先生への手紙が素晴らしいです。
ぜひ読んで欲しいオススメの一冊です。
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by arinko-mama | 2009-08-21 01:04 | 読書