「草すべり その他の短篇」 南木佳士

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20代のOLの頃、定年まじかの上司が、「朝起きると、あ~今日も無事起きられたと思う。」と
話していたのを聞き、とても驚いた。
だって、まだ60前なのに、そんなことおっしゃらないでくださいよっ。と。
そのことをふと思い出しました。

作者と同じ医師の主人公は、職業柄、末期患者の死亡診断書をたくさんかくうちに、
パニック症候群からうつ病を患い、少しずつ改善しつつある。
50代になって山登りをはじめるが、ある日、高校時代の同級生、沙絵ちゃんから
一緒に浅間山に登りませんか。という誘いの手紙がくる・・・(草すべり)

浅間山は、一度軽井沢に泊まったときに鬼押出しを観光したことがあります。
ヒカリゴケも展示してあったような気がします。ものすごい自然のパワーを感じました。
50代、60代で登山を始める人が多いようです。
何か魅力があるのかな~?リュックを背負って、帽子をかぶって、同じような格好の
同じような年代の男女が楽しそうに登っている姿をTVでみたりします。

「山歩きは人生の復路に入ってから始めたほうが、より多くの五感の刺激をからだに
受け入れられる気がする」(旧盆)という一文がありました。
きっとそういう理由からなのでしょうね。あとは自分自身への挑戦、そして健康で
生きていることの確認、自然のすばらしさを実感するなど・・・
いつか夫婦で登るときがくるかしら?そんなことを思いながら読みました。

飼っていた猫が亡くなる日の描写に涙し、登山の途中におにぎりを食べるシーンが
おいしそうでうらやましかったり、バーベキューの炭のおこし方になるほどと思ったり、
登山で出会った人とちょっと一杯のビールを飲みながら語り合うひとときに
こういう出会いはおもしろいな。と思ったり、病気の体験談に将来の自分を思ったり・・・
きれいな言葉、味わいのある文章に浸ることができました。
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by arinko-mama | 2009-06-18 05:21 | 読書