「ひとり日和」 青山七恵

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芥川賞受賞作。またいい本に出会いました。

母子家庭で育った20歳の知寿(ちず)。教師をしている母親が交換留学のようなもので
中国に行くことに。その間、「東京に出たい」という知寿。
親戚の吟子という71歳のおばあちゃんのうちにお世話になることになった。
季節の移り変わりの中、恋愛に悩み、人生に悩む知寿は、吟子との生活や会話の中で
いろんなことを学び、成長していく・・・

ちょうど私も大学1~2年の間、祖父母と一緒に暮らしていたので、
その頃のことを思い出しました。
時々会っていたとはいえ、一緒に生活するとなるとお互い気をつかうし、
その上、大学での新生活のことで頭がいっぱい・・・家に帰りたくなったり・・・
でも、それも最初のころ。なんとか学生生活にもなじみました。

祖父には、「人生、根明(ねあか)っていうのが大事なんだ。」
って言われたのが一番記憶に残っています。明るい気持ちで前向きに。ということかな。
少し濃い目の口紅を塗っていれば、「ちょっと濃いんじゃないか。」と言われたり、
遅く帰ってきたときにはすごく怒られたり。

祖母には、毎日必ず元気な声で起こしてもらったし、
友達の電話もテキパキと対応してくれ、季節ごとにいろんなフルーツを食べさせてくれ、
生活っていうのはこういうものなんだ。っていうのを背中で教えてくれたと思う。

知寿も吟子との会話で、今抱えているもやもやをなんとなくぶつけたり、
こんな風に年をとることができるか考えたり、一歩距離を置きながらも、
いつの間にか吟子を心配し、吟子に影響を受けている。

ラストの、電車で吟子の家の前を通り過ぎるシーンがとてもドキドキして、
自分も電車に乗って一緒にみているような気分になりました。
春休み、実家に帰るとき、昔住んでいた場所を新幹線で通り過ぎたのを思い出しました。
そこは時が止まったようにそこに存在するのに、自分自身は変化しているのが不思議な
感じです。そういうのが、とてもうまく描かれていて、よかったです。
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by arinko-mama | 2008-06-03 00:35 | 読書