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「悪人」 吉田修一

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本屋大賞ノミネート作品。「八日目の蝉」もよかったけど、これもまたおもしろかった~!
大賞の作品はどれだけおもしろいのでしょう?!

吉田修一さんの作品は人間くさくて、男くさくて、九州のにおいのする作品が多いのです。
言葉遣いとか、出てくる男の人の雰囲気とかが懐かしくて、結構読んでます。
「悪人」についても、手に取ったときはその厚さにどうしようかためらったのですが、
セリフの方言と、大濠公園とか、久留米とか、呼子とか、おなじみの地名が出てきていた
ので、速攻で借りてしまいました。
リリーさんの本以来ですかね~。九州弁の本は。読んでいて楽しいです。
他の地域の人が読んでも、セリフのニュアンスが伝わらないんじゃないかと思うんですけど。

ある男性が、出会い系サイトで知り合った福岡の生保営業の女の子(久留米出身)を
殺してしまう。という内容ですが、誰が殺したかが徐々に明らかにされていき、
その経緯や、容疑者や犯人や女の子の家族、友人、いろんな角度からその事件を
追っていきます。

最近多い、出会い系サイトにまつわる事件。いきなり会った人を殺してしまうなんていう
残酷なことが、こんなに簡単に起こっていいのか。と疑問に思うし、
何で殺したのか。殺さなければいけなかったのか。理由を探したくなるし、その犯人の
生い立ちや、家族背景も気になったりします。
でも結局、肝心なところは、ワイドショーをいくらみてもよく分からないんですよね。
犯人や被害者の気持ち。被害者の家族の気持ち、犯人の周りの人の気持ち。
いろんな人の気持ちを丁寧に描いた作品だと思います。

「悪人」公式サイトもおもしろいです。吉田修一さんの集大成という感じ。
これも角田さんに続き、星5つかなあ。おもしろかったです。

by arinko-mama | 2008-05-15 15:41 | 読書