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「柔らかな頬」 桐野夏生

直木賞受賞作品ということでちょっと期待しながら読みました。
上巻で事件の起きるまで、そして後半の内海刑事の登場と、
ぐいぐいひきこまれつつ、長い本が苦手なので早く結末を知りたいけど
とにかく登場人物が多いのと、キャラクターが濃いのと、いろんな人の
いろんな思いがあるのと、宗教や報道をきいた人の感情とか情報提供の人の
わけわからない勘違いやら、石山の変貌ぶりやら、警察の話やら
内海の健康状態やら、もう、気になることがどんどん下巻になって登場して
ボリュームのすごさにただただ圧倒されて、最後、へ??とあっけなく終わると
いう、昨日は、ぼんやりした夜でした。

今朝起きて、直木賞の講評や、皆さんの感想をみたり、犯人予想を読んだり
しているうちに、これだけみんなが反響して、あーじゃないこーじゃない
語っているということが、この本の魅力なんだろうなあと思いはじめ、
単純な事件じゃなくて、人間は複雑な生き物だし、そしていろんなタイプの、
そして考え方の人間がいるという、なんかそういうことなのかな・・・。と

震災や数々の事件にしても、結末がないことが多いし、TVで報道されていること
だけが必ずしも真実ではないし、幸せそうにみえる夫婦も実は全然そうでは
ないことが本当に多いし、だからこそ、人は何なんだろうと考えるし、いろんな
本を読んで人間というものを理解しようとするんだろうし。
現実というのは、ミステリ小説のように単純にはいかないものなのかもしれませんね。
逆にこういうよく分からない物語をもっと読んでみたくなりました。印象深い作品です。

by arinko-mama | 2015-01-26 11:08 | 読書