「夜想曲集」 カズオ・イシグロ

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「わたしを離さないで」や「日の名残り」を読む気力がないので、
短編集からスタートしてみました。
訳者あとがきに、大きく影響を受けた作家の一人がチェーホフとありました。
チェーホフは昔読みました。「可愛い女」などの短編集は好きです。

とても大人の雰囲気で、「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」という副題どおり、
海外のいろんな国の音楽が聞こえてきそうな、そして、その風景と夕暮れの
きれいな景色が浮かんできそうな・・・五感で楽しめる短編でした。

昔、才能や名声のあった老歌手の晩年や、ミュージシャンをめざす若者など、
全て音楽にまつわる話で、音楽を通じてこんなに多くのエピソードが書けるんだ
と改めて感じました。私は一番短そう!と最初に読んだ「モールバンヒルズ」が
印象に残りました。

若いミュージシャンの苛立ち、彼と一緒に過ごす姉夫婦の苛立ち、
そしてミュージシャン夫婦の感情のすれ違いを、モールバンヒルズという英国の
美しい丘陵地帯を舞台に描いています。
時の流れ、音楽に対する考え方、人と人との関係、感情の動き・・・
とてもわかりやすくて、そのモヤモヤした思いが伝わってくる短編でした。
いつか長編にもチャレンジしてみたいです。
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by arinko-mama | 2012-01-23 11:04 | 読書