「声の網」 星新一

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1970年、私が生まれた頃にかかれた一冊。
オーウェルの「一九八四年」を大学生のときに読んだときも同じような
驚きをもって読んだけれど、この「声の網」も未来を予知しているようですごい。

メロンマンションの住人を階数ごとに1階から順に紹介、月も1月から順番に。
その住人の部屋の電話からは、病院の診察が受けられたり、身の上相談が
できたり。電話をかけている以外のときは、好きな音楽が部屋に流れ、
カクテルは自動的につくられ、気温は快適に保たれている・・・

一人一人の生活にそこまで浸透しているわけではないけれど、
現在の私たちの生活では、ネットで買い物ができたり、掲示板で相談が
できたり、病院もネットで繋がっていて、遠方からの診察が可能である病院も
ちょこちょこあったりする。1970年の時点で、のんびりテレビのチャンネルを
ひねったり、ダイヤルを回していた私たちの生活がこんなに変わるとは
予測できなかったと思う。星新一さんはすごい。

この前、実家で父が加入したプロバイダの何かの申し込みをするときに、
ネットの操作がよく分からず電話したところ、「遠隔操作しますので・・・」と
言われ、私が何も操作していないのに、PCの画面がどんどん変化し、
電話相手の人があっという間に操作を完了してしまった。
長年社会に出ていない私は、ここまで進歩してしまっているのか・・・と
驚きを隠せなかった。

海外にいる弟夫婦とネット上で会話することのできるskypeという仕組みも
すごい。時間的な会話の遅れもなく、すぐ隣にいるかのように会話ができる。
この先、映画でみたように車が飛んだり、宇宙に旅行できたりするのか、
先を想像するだけでなんだか恐ろしい・・・

「声の網」もそんな近未来の機械文明によって、人々がいろいろな恐怖に
つつまれる様子が描かれる。停電になって、マンションの広場が人々で
埋め尽くされる。それぞれいろんな反応をする様子を見て、異変がおきた
時の姿が本当の個性なのかな。普段はみんな同じような生活をしているのに
と思う住人。何もかもない時代の方が人間は人間らしく生きていたのでは
ないのかな。と考えさせられました。今改めて読むべき一冊です。
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by arinko-mama | 2010-12-08 13:15 | 読書