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「閉鎖病棟」 帚木蓬生

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閉鎖病棟という言葉すら知りませんでした。
精神科の患者さんたちが入院生活をしている場所を舞台にしています。
一人一人の患者さんの過去、入院するに至った経緯を紹介。
どの人もそれなりの事情や理由があってのこと。
同じような状況におかれたら、自分も精神的に病んでしまうかもしれない。
と考えさせられます。
筆者の公平であたたかなまなざしで、患者さんの人生が丁寧に描かれ、
最初は登場人物が多いのと、せつないぐらい悲しい内容に、挫折しかけ
ましたが、中盤からぐいぐい引き込まれていき、最後にはじーんときて、
感動しました。読み終えてから、また最初に戻ると、その人物のことを
改めて考えさせられました。

薬を飲みながら、食事や生活の世話を受けながら、閉鎖された社会の
中である意味守られて、仲間との絆を強くしていく患者さんたち。
とても純粋で、温かい人柄だからこそ、思い込んで精神的に病んでしまった
のか・・・?それでも犯罪はNo。
いろんな事件がおきる中で、加害者の精神鑑定を行うことが増えています。
事件になる前に、誰かが相談したり、力になってあげられることがなかったのか
といつも感じてしまいます。

とにかく、会話。周りの人が悩んでいたり苦しんでいるようだったら、
声をかけたり、微笑んだり、力になってあげたい。そんなことを考えさせ
られました。でも、苦しんでいる人からすると、そんな簡単なことでは
ないのかなぁ・・・とても考えさせられた一冊でした。

by arinko-mama | 2010-11-25 14:34 | 読書