「優しいおとな」 桐野夏生

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たぶん桐野さんの本を読んだのは「OUT]以来かな。
表紙がスカイエマさんという方のカッコイイ絵だったので、
子供がらみの話かな~。と借りてみました。

舞台は近未来の渋谷。
15歳のイオン(名前がいちいちカッコイイ)が児童保護せんたーから
脱出し、ホームレスのまま炊き出しに並ぶところから始まる。
その日その日の生活でいっぱいいっぱい。所持金も少なく、
身よりもない。愛を知らずに育ったイオンは、他人に対しての興味も薄い。
自分に関心を寄せてくる「ストリートチルドレンを助ける会」のメンバー、
モガミに対しても心を開かず、ただ鬱陶しいと感じるだけだった。

そんなイオンに双子の兄弟、鉄と銅がいることを思い出してから、
その頃の記憶とともに、兄弟に会いたいという気持ちが強くなるイオン。
大事にしていたリュックを奪われてから、地下組織の一員になり、
まさに闇の中に落ちていく人生・・・錫との出会い、仲間との出会い、
そこで目にした人の死・・・

イオンが成長していくさまを追いながら、ケミカルという女性の生き方に
同じ子を持つ母親として、興味をもって読みました。
「人間には光が必要なんだ・・・以下」がとても心に響いて、子供を
必死で守り、生きていく母親の強さを感じました。

最近、子供を虐待する両親、子供が親を殺してしまう事件などが
増えています。近未来、社会が不安定になったときに、子供が犠牲に
なって、イオンのような子供たちが世の中にあふれることのない
いい世の中であって欲しいと願います。

人間が生きていくにはやっぱり愛情が必要。それが必ずしも両親から
受けることができなくても、子供たちは一生懸命に成長していく。
身近に本当にその子のことを思って助けてくれる大人たちがいれば。
そんなことを感じられるスケールの大きい一冊でした。
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by arinko-mama | 2010-11-15 10:47 | 読書