「タンノイのエジンバラ」 長嶋有

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今日も雷がなっています。でも雨は降らないから、なんだか怖い感じ。
4つの短編が入っています。「バルセロナの印象」が一番好き。
大学の卒業旅行で、スペインに行ったので、
ガウディのサグラダ・ファミリアやグエル公園など思い出しながら読みました。

9歳年上の姉が離婚して、そのあと飼っていた猫が行方不明になったので、
元気付けようと弟夫婦がスペイン旅行を企画。
3人の微妙な距離感と緊張感が伝わってきてとてもいい感じ。
旅の途中で、お姉さんが怒るのですが、その怒り方が自分をみているようで、
私にも弟がいるせいか、とても親近感を覚え、お姉さんが一番好きでした。

一番素敵な文章だなあ。と思ったのは、
「しかし僕は、自分が冴えない散策の果てに小さなカフェで女主人に見守られて
仕事をしたことや、二人が異国で「本物の」ミサ体験をしたこと、二人が僕の不在を
残念がったこと、僕が二人は雨にうたれていないかとつかの間思いを巡らせたこと、
その出来事の全部を素晴らしいと思った。旅行をしているという実感があった。」
というところ。
旅をするということは、異国で普段とは違う体験をしたり、いつも一緒にいる家族の
ことを思ったり、一人の時間を楽しんだり・・・ということなんだという。いいですね。

他の3つの話にも共通しているのは、微妙な人間関係の距離感。
近所なのによく知らない女の子とか、同じ職場なのに素性がよく分からない男性とか、
家族なのに別れて暮らしていて久々に会ったとか・・・
でもなぜかどの人たちも優しくて、その関係性もいい感じで。
他の作品も読んでみようと思います。
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by arinko-mama | 2010-06-02 14:11 | 読書